【AWS Summit】AlexaとIoT 1-Clickの利用で実現する工場改革

f:id:istc-blog:20180531134014p:plain

こんにちは、i Smart Technologies CTOの今井です。

5/31のAWSサミットで、弊社のCEOが新サービスに関するコンセプト動画を発表しました。 本記事は、コンセプトの詳細と、なぜこれらが生まれたのかについて、興味のある方のためにご紹介します。

動画

動画がこちら。

www.youtube.com

現場×CTモニタの課題

カイゼンに重要な「非可要因」

私は今年の1月より, i Smart Technologiesに転職しました。 初めの2カ月は、現場の生産性向上部門で改善活動を行うという研修期間。

前職の10時出勤から、毎朝7時に出社・ラジオ体操をするという生活への変化は、なかなかシビアでした。*1

実際に工場をみて、CTモニタでたまったデータを見て、それをもとに改善を行う部署。 データ化されている分、効率的に議論が進みます。

しかし、課題も見つかりました。それは、「異常停止時の対策」です

「非可(ひべき)要因」と呼び、現場ではこれを細分化して、直せそうな箇所から改善を進めていきます。

もちろん弊社のサービスで、こちらの理由の記入ができます。*2

  • トップ画面にアクセス
  • タブレットで見たいラインの画面を長押し
  • 停止理由を変更

f:id:istc-blog:20180531140714p:plain

たったこれだけです。たったの3動作。しかし、なかなか入れてもらえていません。

現場の特性を理解せよ

現場の人に理由を聞くと、実にシンプルな言葉が返ってきます

  • めんどくさい
  • 手が汚れている

我々がオフィスで実行する3つの動作と、現場で追加される3動作は意味が違うのです。 心理的負担をかけることなく、目標を達成する。 必要とされている技術は、そのようなものでした。

AWSのサービスを利用したソリューション

そこで目を付けたのが、IoT 1-ClickAlexaです。 それぞれLambdaのトリガとして使えます。簡単に仕組みを書いておきます。

f:id:istc-blog:20180531153339p:plain

IoT 1-Click

各機器ごとに、停止する理由はある程度決まっています。 問題が起こった箇所でボタンを押して停止理由を記録できるようにします。

先ほどまでの3動作を、これで1動作に集約することができます。

同時に、CTモニタの情報を見て、上長呼び出しを迅速に行うことが可能です。

また、見落としがちですが、ボタンを物理的に押すという感覚自体が、ヒューマンエラーを下げることにつながります。

IoT 1-Clickとlambdaを組み合わせ、ボタンを押すだけで停止理由を記入できるようにしました。

Alexa

Alexaを使うと、非接触での記録を可能にします。 ウェイクアップワード*3が必要な分、1-Clickよりも動作は増えますが、その分自由度の高い入力を可能にします*4

また、他の作業と並行しての音声入力も可能なので、慣れれば使い勝手の良いものになるだろうと期待しています。

『Connectedあんどん』

IoT 1-Clickと、Alexaという2種類のサービスとCTモニタを連携させました。

「外部入力で簡単に設備の停止理由を記録できる。」これだけでも大きな恩恵ですが、連携の効果はまだあります。 CTモニタを組み合わせることで、状況に応じた柔軟な呼び出しが可能になるということです。

  • 停止理由によって呼び出し先を課長、係長、班長と変える
  • ある停止理由が頻発してきたら、呼び出し先をエスカレーションする
  • 課長の応答がないときは、別の課長を呼び出す

f:id:istc-blog:20180531124310p:plain

これらの呼び出し先の決定はルールベースでも良いですし、AIを使っても良いでしょう*5

従来、多くの時間を必要としていた箇所に対して、IoTデバイスと組み合わせることで、大幅な時間短縮、付加価値向上が望めます。

f:id:istc-blog:20180531141614p:plain

弊社では、このサービスを「Connectedあんどん」と呼んでいます。 CTモニタを機に、デバイスをネットワークにつなぎ、人もネットワークでつなぐ。工場のあらゆるものが"Connected"された世界で、生産効率のさらなる向上を目指します

まとめ

弊社が今後展開していく構想と、ソリューションをお話ししました。

実際はまだ荒削りな部分も多く、このConnectedあんどんがサービス化されるのは、まだ先かもしれません*6

「技術は研究開発室で使うのではなく、現場で使われる」

をモットーにしています。今回のコンセプトも、荒削りですが、地に足はついています。 今後も、現場重視のConnected Industriesをどんどん展開していきます。よろしくお願いします!

*1:しかし、ラジオ体操は素晴らしいです。目が覚めます。

*2:詳しくは過去記事参照

*3:Echoを起動するために「Alexa」と話しかける必要がある

*4:1-Clickがワン/ダブルクリック, 長押しの3種類に対し、Alexaは言葉を登録すれば何種類でも利用できます。

*5:どちらを使うかはそれほど重要なことではありません。大事なのは、現場にとって役に立つのはどちらかなのです。

*6:サービス化開発が完了したら、またアナウンスいたします。